ドタバタカリフォルニア縦断記

財布を盗まれ、一文無しでアメリカに降り立った。ママチャリで走り出したギリギリのサバイバル旅、そのハイライトをお届け。

 

 2016年9月3日。多くの人からすれば、なんでもない日であろう。ちょうどその日僕は1ヶ月留学していたメキシコで財布を奪われ、何も状況を理解できないまま、僕は一文無しで国を去った。

そして何もわからないまま行き着いたのは、自由の国アメリカはカリフォルニア。アメリカに着いたのは良いが、いかんせん僕にはお金がない。自由の国であってもお金がなければ自由の欠片もない国だ。そう思いながらサンフランシスコの空港にあるセブンイレブンでナッツまみれのクッキーをほおばり途方に暮れていると、ある青年が僕の元に歩み寄ってきた。

 優希だ。僕の友人でこの日のこのサンフランシスコの空港で合流するといっていたのだ。そしてその時僕がアメリカに来た理由を思い出した。

 

『カリフォルニア縦断旅』だ。

 

そうだった。僕は優希と一緒にカリフォルニアを縦断するんだった。

 

ここで簡単に優希について説明しよう。彼は僕と同じ大阪出身22歳の幼馴染だ。小さい頃から近所の木に登り川を泳ぎ『南大阪のターザン』とまでいわしめた異端児だ。彼は大阪体育大学に通っており、筋骨隆々の青年である。(しかし彼は教員採用試験に落ちている)

 そんな彼とカリフォルニアを縦断するのだ。僕たちは数ある選択肢の中で「自転車」を使うことにした。自転車で縦断。ここで皆はどのようなイメッジを思い浮かべるだろうか?、、、ロードバイクと考えた人は浅はかだ。ロードバイクだったら誰でもできる。僕たちはできるかわからない世界への挑戦をしているのだ。ロードバイクで良いと思った人は深く反省してほしい。宿泊先はホテルではい。某有名レストランデニーズだ。24時間営業をしている某デニーズは、お金がない僕たちにとってはホテルにしか見えなかった。

 

僕たち、とりわけ僕はお金がない。スーパーに売ってあるWomens Bike を購入した。いわゆるママチャリだ。

 

 そして僕たちは、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジをスタート地点にし、総距離1000kmの僕たちの旅の火蓋が落とされた。

 

ここから延々と旅の話を書くと本当にA4用紙1000枚分くらい書けてしまうので、今回はダイジェスト版でお送りする。この旅で起きたハプニングをお教えしよう。

 

【チャリ旅であったハプニング】

・スタートして1日目にして僕のママチャリが壊れる

・次の日ロードバイクを購入する。

・体育会系の優希の脚力と僕の脚力に大きな開きがあることを知る

・優希が自転車ごと溝につっこみ顔に大きな傷を負う

・ダンプカーがテント泊しているときに突っ込んできて、優希が倒れてきた自転車の下敷きになる

・デニーズでパンケーキ1枚で夜更かししていると、働いている黒人のおばさんにキレられる

・自転車の疲弊によりペダルが吹っ飛ぶ

・途方に暮れている時に、おばさんが話かけてきて、カフェでアサイーボウルをごちそうしてくれる

・出発して5日ほどして高速道路を自転車が走れることを知る

・ロサンゼルスに到着して、保険会社からお金をいただく。

 

 

 毎日朝6時に起きて夕方4時くらいまで走ること15日間。目の前に広がる山の連なり、西海岸と言いながらも海が全く見えなかった初めの1週間。

初めてみた海の感動。流した涙。やっとついたロサンゼルスはサンタモニカ。どれにしても今まで感じたことがなかったような達成感があった。そして何よりも最後にサンディエゴに着いた時の、この旅も終わるのかと思ったさびしさ。

ハプニングを乗り越えて地獄のような道を走り続けて得たもの。それを優希とともにかみしめた。僕がメキシコで財布を盗られたことなどもはや遠い過去かのように、この時間は濃かった。

 

 

【旅を通して感じたこと】

 気温は40度であたりには田んぼしかない単調な道が5時間も続く。飲む水もなくなってくる、体力も徐々になくなっていく。。。

「もうここで止まれば確実に死ぬ」と感じた時、人間はここまでかんばれるんやと実感させられた。そんな中死ぬ気で頑張っている時に手を差し伸べてくれる人々。田んぼで作業をしながら頑張れってエールを送ってくれるメキシカンの人たち。真横で溝に突っ込む優希。道にはいろんなドラマがあるなと感じた。そして旅が終わるときに感じたさびしさはきっとこうした刺激も感じなくなるんだなって思ったからかもしれない。

 旅は刺激をつくってくれる。人生が道だとすれば旅は険しい道をつくってくれる。険しい道を行く、それが「冒険」であり旅だと思う。(※命の危険を冒すのは冒険でもなんでもない。)みなさんぜひ刺激を求めて旅をしてみませんか?

 

以上、いまこたつに入ってナッツまみれのクッキーを食べながら、思ったことでした。

 

 

 

(文・廣瀬裕馬)