「平和」に向かうコロンビア

 

初めまして。スペイン語科二年の夏原です。

 

10月7日にコロンビアのサントス大統領がノーベル平和賞を受賞したことはみなさんご存じだと思います。

 

私はこの夏にコロンビアに1か月間留学し、それまで全く知らなかったコロンビアのことを少しわかって帰ってきました。留学のことについて書こうと思っていましたが、私の経験談よりもコロンビアの歴史的出来事を皆さんに知っていていただきたいと思い、今回はノーベル平和賞受賞の理由となった和平合意について話したいと思います。

 

コロンビア国内では50年以上にわたって政府とゲリラ組織FARCの内戦が続いていました。FARCは社会主義政権の樹立を目標に、農民の地位向上と政治参加の実現を目指す組織です。麻薬取引を資金源とし、コロンビア政府・軍に対して殺人や誘拐、強盗などを繰り返してきました。この内戦で殺害された人は約22万人、行方不明になった人は約100万人に上ると言われます。

 

サントス大統領は最近FARCが弱体化していたことを受けて、FARCとの対話をすすめ、他国の協力もあり、今年8月24日に和平交渉が最終合意に至りました。

私自身はすでに帰国していましたが、私と同様、コロンビアに留学し、その日にまだ現地に残っていた友達に聞いたところ、和平合意に対する人々の興味は半々だったようです。彼女のホストマザーはニュースを知って泣いて喜んでいたそうですが、一方で大学の先生は授業の前に「今日はとてもいいニュースがあったね」と言ってオリンピックについて話していたそうです。

 

この時点では確実に和平合意が成立すると政府も含め多くの人々が思っていました。しかし、10月2日に実施された国民投票で約50.2%の反対によって和平が否決されました。反対票が想像よりも伸びた理由はいくつか挙げられます。賛成票が圧倒的に多いだろうと考えた人々が投票に行かなかったことや政府の賛成を促す運動が不足していたことなどが考えられますが、私は何よりもFARCの被害を受けた人々の怒り・悲しみがこの結果に反映されていると思います。この和平合意の内容を見ると、罪の減刑などかなりFARC側に譲歩したものとなっているからです。

反対票に投じた人々も決して内戦が終わることに反対しているのではないと思います。国民としてコロンビアの平和を望んでいると思います。ただ、自分も含めて多くの人々を傷つけたFARCに対して今回の協定内容には賛成することができなかったのだと考えます。家族が殺された人がその犯人の罪を大きく減刑することに賛成ができないのは当然のことです。

 

未来の平和のために過去の罪をどのくらい許すことができるのか、そのバランスをとることが大切なように思います。国民投票で和平合意が否決されたにもかかわらず、ノーベル委員会がサントス大統領に賞を授与したのは、今後も困難が予想される国民的合意に期待を寄せた表れだと思います。

 

コロンビア留学で知り合った現地で暮らす方々の意見を集めてまとめたかったのですが、スペイン語で書かれた意見を理解するのに時間がかかってしまいました。しっかりまとめて次の機会に書きたいと思っています。

 

 

(文・夏原実佑)