Spazieren mit moewen〜北ドイツお散歩紀行〜第5回

今回は、デンマークとの国境に位置するフレンスブルクへと足を延ばします。暖かいコートにマフラーをしっかり巻いて、さあ、バスへ乗り込みましょう。

一日中晴れない霧に包まれて、全速力で冬へと向かう北ドイツ。カモメの声はほとんど聞こえなくなってしまいましたが、まだまだ私はお散歩を続けます。

今回は、デンマークとの国境に位置するフレンスブルクへと足を延ばします。暖かいコートにマフラーをしっかり巻いて、さあ、バスへ乗り込みましょう。

 

 

 まずは目的地のご紹介から。キールからさらに北へ約70km、バスに揺られて1時間のところにあるフレンスブルクは、8万人が暮らす、キール・リューベックにつづくシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州第3の都市。1864年、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン戦争ののちにプロイセン領になるまではずっとデンマークに属し、カリブ海とヨーロッパとの貿易拠点としてにぎわいを見せていたそうです。そのなごりは今でも色濃く、道行く人々からは、デンマーク語もしばしば聞こえてきます。

 

 

 フレンスブルク中央駅から出る路線バスの終点は、なんとデンマーク国内。せっかくなので、まずはデンマークに足を踏み入れてみましょう。20分ほどバスで行くと国境に差しかかり、入国審査官がバスに乗り込んできます。パスポートを示し、通り抜けると、すぐに終点、デンマークのKrusaです。さて、来てみたはいいものの、あまりに何もない。フレンスブルクで見るべきところはまだまだたくさんあるので、在留30分ののち、早々にデンマークを「出国」いたしました…。

 

 

 フレンスブルクは、港から山に連なる坂の多い街でもあります。、ある急勾配の坂を、てっぺんまで息を切らして登ると、古びた風車が待っていました。224年の歴史をもつ、Bergmühleです。すでにプロペラは折れ、風車の役目を終えてはいるものの、デンマーク時代から今に至るまで、どっしりと街を見守っています。

 

 

 この日、港にはたくさんのテントが並び、デンマーク料理を楽しめるイベントが行われていました。デンマーク語で書かれたメニューの中から真っ先に見つけたのは…牡蠣!!なんと、採れたての生牡蠣をその場で選んで開けてもらい、食することができるのです。半年ぶりの生の魚介類、しっかり堪能いたしました。

 

ベーコン・リンゴといっしょにグリルした牡蠣も絶品。

 

美味しいものでおなかを満たしたら、Holmと呼ばれる街のメインストリートを散策いたしましょう。ドイツでは日曜日はお店が閉まっているのでお買い物ができないのが残念ですが、建物の雰囲気や看板に書かれた言葉から、ここが北欧と中央の混ざり合う地点であることを充分に感じ取ることができます。ショッピングセンターにはデンマークとドイツ両国の国旗が掲げられ、デンマーク語の本を扱う大きな図書館もこの通りにあります。

 

 

 ところで、このHolmを北へ行くとそのままつながっているNorderstrasse(ノーダー通り)の頭上には、たくさんの靴がぶら下がっています。Shoefitiと呼ばれるこの現象、ニューヨークなどではギャング同士のサインであるとも言われていますが、フレンスブルクのShoefitiは、靴屋さんがスニーカーを宣伝するために店先につるしたのが始まりといわれています。潮風にぶんぶん揺れる靴たち(スニーカーだけでなく、革靴やゴム長靴まで!)、落ちてこないのかな…。

 

 

前号でキールの教会を、「海の守護聖人ニコライの名を冠した」と紹介しましたが、ここフレンスブルクの中心部にある教会も、港街らしく「聖ニコライ教会」です。シンプルなステンドグラスにレンガをそのまま見せた柱、典型的な北ドイツの教会といった風情。

 

 

さて、入り江をぐるっとまわりこみ、今日の最終目的地、Marien Caféへ。広めのカフェの天井から大量のティーポットがぶら下がった、楽しいカフェです。天井だけでなく、窓枠や壁の棚、トイレ(!)に至るまで、店内には1000個以上のティーポットが飾られているらしい。(落ちてこないのかな…)とまたしてもちょっぴり心配しながら、手作りの美味しいケーキと紅茶をいただきました。

 

 

 重く雲が垂れ込めた寒い日に、それでも北欧風パステルカラーの街並みと明るい港でお散歩を楽しませてくれたフレンスブルク。ハンブルクからでも、電車で2時間半ほどです。北ドイツを訪れた際には、ぜひ寄り道の候補に入れてくださいね。

 

 

 

(文・堀川 夢)