~El Camino~ サンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼の道

300㎞の道のりを徒歩で巡礼!人生を変える「何か新しいもの」を探してCamino de Santiagoに挑戦。

「んんぁあ〜…へ?」Madrid 発の夜行バスにて、前の席の子供のこぼしたサイダーが靴下に染み込む冷やっこさで目を覚まし、Leonへ。

片道5時間ほどかけてLeonについたのは午前4時。もちろんお店なんてやっているわけでもなくどこで降ろされたかも、どこへ向かうかもわからないまま、スペインの朝の寒さに身を震わせていました。

 

Camino de Santiago の始まりです。

 

キリスト教の総本山のうちの一つがあるスペイン北西部に位置するSantiago de Compostela を目的地とし、フランスから始まり、全長800kmにも及ぶ巡礼路は中世より多くのキリスト教の信仰者がその地を目指しました。巡礼路そのものが世界遺産に登録されているほど歴史は長く、今回私が歩いたのは300kmほど離れた地点から。100km以上徒歩で歩くと巡礼証明書がもらえるのです。

巡礼路上にはアルベルゲという巡礼者が泊まる宿があり、平均して一泊8ユーロほど。キリスト教の信者でなくとも参加でき、安く魅力的な旅ができるという理由から巡礼する人も少なくありません。

 

 

街には人っ子ひとりもおらず、聖地巡礼の主要地の一つであることすら忘れてしまうほどに閑散としていました。

「とりあえず私はいまどこにいるのか!!バスが止まる場所といえばバスステーション!」東南アジアバックパックの時、携帯を無くした後、途方に暮れていた私が頼っていた我が絶大なる信用を誇る<地球の歩き方>のみ持ってきていた私はとりあえず本の地図を。

「あぁ、あった!バスステーション。しかも川沿い。俺がいまいるのも川沿い。さすがっす!」居場所を確かめた私は入れないとわかっていながら建物の外観だけでも!とLeon散策を始めました。

そして巡礼者がちらほらと活動し始めると聞いていた午前6時、路上で着替えを済ませていた私はまず向かう方向を確かめなくてはならなかったのです。

 

 

「…この足跡は!!間違いない!俺の巡礼が始まるぜ!!」

フンッと鼻を鳴らし、堂々と歩いていても同じ景色を堂々巡りしているだけ…

信じるべき印が偽りのものであったばかりに私の心はすっかり慌て始めていました。

 

途方に暮れていると重そうなバックパックを背負った女性が!お!すかさずアタック!「すみません、この足跡ってあってます?」「いいえ、黄色い矢印に沿うのよ。」 あぁー!神様!

 

 

無事巡礼が始まり、休憩がてらクレデンシャル(巡礼手帳)を手に入れようしようと立ち寄ったカフェにてルカと出会いました。クレデンシャルは自分が歩いた距離を証明するもので、証明書をもらうには絶対必要なものなのです!!

ルカはイタリアから来た20歳の学生です。今回の巡礼で最も親しくなった友人です。彼は中国に一年間留学をしていたので中国語が堪能で、Caminoはフランスからスタートしているベテランです。彼はスペイン語も話せるので、私のクレデンシャルの入手の助けをしてくれました。聞けばイタリア語とスペイン語は起源が似ていて、お互いゆっくり話せば会話が成り立つのだと教えてくれました。

「う、羨ましい。」

やっとこさ、巡礼の必需品を手に入れ、安堵した私はルカとそこで別れました。

「ブエンカミーノ!!」

 

初日は32kmほど歩いたところにある村のアルベルゲに泊まりました。

ここでは多くの出会いがありました。会うたびにポンピンポンピン言っている、初対面で私を説教したおじさん。

フランス語のみを勢いよく話すおじさん。

そしてカミーノ3回目のヨルンとその彼女カーティ。彼らはカミーノで出会った国際カップル。彼らとはこの旅の中で頻繁に会い、逐一親切にいろいろなことを教えてくれたので本当に助かりました。

スペインの朝は明るくなるのが8時前。歩き始める6時は本当に暗いです。

その晩、多くの巡礼者が持ってきているヘッドライトを私が持ってきてないことを二人が気遣ってくれ、明日の朝一緒に行こうと誘ってくれました。しかし、私はスペインのビールの美味しさに魅了され他の巡礼者と晩酌を開始。

「私たちもう寝るけど起きれる?」

「大丈夫ー!おやすみ!」

と威勢良く放った言葉と裏腹に、次の日…ハッと目をさますと7:30…あぁぁぁあーー!!!他の巡礼者はすでに出発した後。もちろん二人はいません。誰もいない部屋で一人慌てて準備に勤しんでおりました。そんな私の慌てっぷりさえもあざ笑うかのように顔にはハエがブンブンと飛んでいました。

しかし歩き始めて、目の当たりにする広大な景色は私の心をすぐに落ち着かせてくれました。

  2日目の午後2時。初日のアルベルゲで出会ったフランスおじいさんと小さな村で再会し、おじさんの勧めるアルベルゲに泊まることに。

翌朝、時間通り起きられたので早速出発!

朝6時といえども真っ暗。辺りには誰もいません。北斗七星がはっきり見えることに感動するも、一寸先は闇。こ、怖い!

井上陽水の「少年時代」や山下達郎の「僕らの夏の夢」を聞きながら元気をもらっていました。

  「音楽の力は偉大だぜ!」

 

※その日のアルベルゲにて、イヤホンを洗ってしまいましたが…とほほ。

 

 世界中から来た巡礼者と歩きながら会話を交わしつつ、軽快に進んでいました。

  道中、2日に1回ほどのペースでルカとヨルン達に会い、目的地を話し合ったり、初日の寝坊について謝罪したり、陽気なイタリア人達と夕飯を食べたり、スペインのタコ料理に舌鼓をうったり、野を越え山を越え、順調に巡礼を進めていました。 

  すでにこのタコ料理、日本で2度作りました。食べたければぜひ振舞いましょう。 

 

もちろん毎日歩いていれば疲れも溜まります。山頂からの急な下りを「Japanese Ninja!!」とふざけあって勢いよく下ったこともあり、町の喧騒ですら嫌になる程疲労がたまっていた日。その町で1番安いアルベルゲに最後の一人として泊まれた時は運が味方している!!と感じましたが運命の飴とムチです。夜。アルベルゲの近くでライブが始まりなかなか寝付けない…

たまたま隣のベッドにいたルカはノリノリ。

「ふんふんふ〜〜🎶この曲有名だぞ!!」 「ホヘェ〜!(頼む、寝かせてくれ)」

 

雲海が眼下に広がる眺めに興奮した後、その中に入って一人ハイテンションになっていたり、いろんな国から来た巡礼者にわさびの説明をしたり、牛に話しかけたりと毎日、出来事に事欠かくことはありません。

巡礼を始めて8日目。

翌日にはSantiago !!と、およそ20km離れた地点のアルベルゲに泊まり、翌日の準備をしつつ今までの行程を思い出していました。

その日、ドミトリーにも関わらず心地の良い場所に当たったことを隣のおじさまと喜んでいたのです。その夜のことも知らずに…寝つきの悪い私はいつものごとく深夜に目を覚ますと隣でボフッ!っという音の後に濃厚な臭気が漂ってきました。おじさまがオナラをしたのです。別にオナラなら気にすることもありません。しかしあまりの臭気の強さに看過することができません。

布団を用いておじさまの放屁の猛攻に対して防衛を計ったツケが回ってきたのでしょうか。 最終日の朝、今まで順調だったお腹の調子も嘘のように、私のお腹の中はあふれ返る巡礼者のごとく騒ぎに騒いでおりました。ゴールのサンティアゴ近郊にあるサンティアゴ空港近くを通り過ぎる頃には私の便意も別の方向へとfly away しそうなくらい!!

なんとか巡礼路の上にあるバルやアルベルゲはないものか!?と迫り来る便意をドウドウとなだめてつつ発見したアルベルゲで危機的状況を回避。フゥ〜。

それからノンストップで歩みを進めていくと大きな街が見えました。サンティアゴです。

しかし自然と気持ちは平行線。

なぜ?

連日40キロの巡礼を繰り返していた成果がここにきて出てきました。たかが20キロなんて、疲労の一つも感じなかったのです。

しかし見えてはいてもゴールは遠い。 焦る気持ちを抑えもせず、自然と早まる歩みを緩めず、スパートをかけ、巡礼者をサッサッと抜かし…!とうとう!サンティア…へ??

…写真で見る風景じゃない。

 

どうやら少し違うところに出たのです。

「んがぁ〜!!」

10分ほどさまよい、改めて…

「着いたぞー!うぉー!」

彼がルカです。

少し薄まった感動を噛み締め、ルカとも再会し無事に巡礼の証明書をもらい私の夢の一つであったスペイン聖地巡礼を達成しました。 正午から始まる巡礼者のためのミサにも出席し、見られたら幸運というボタフメイロを見ることもできました。

 

気づけばこの巡礼、14日間必要というガイドブックの情報を無視し、9日間で達成したことよりも、1日も雨に降られてないのです!!よっ!晴れ男!

 

巡礼を終えて。

奔流中国同様、やはり私はそのまま感傷に浸るわけでも、まっすぐ帰るわけでもなく近郊に住んでる友人のもとへと遊びに行きました。そこで雨に降られましたが…

 

高校生の頃にCaminoの特集の番組を見てからいつかは行きたいと、自分の夢の一つになっていたこの聖地巡礼。番組内で巡礼者が言っていた価値観を変える「何か新しいもの」は私はまだ見つけることができてませんが、歴史を感じさせる建物が並ぶ村々、素敵な風景や人々に会えるのはこの巡礼の魅力であると思います。

 

写真では伝わらない風景の美しさと、スペインの太陽光線の厳しさを是非肌で感じてみてくださいね。

 

 

(文・阿部航平)