ユニーク外大生第4回

「ぼくはこの世に生を受けたときから、虫がすきなんですよ」クワガタに魅了され、外大インドネシア語科へ。愛してやまぬ「ことば」と「昆虫」をまっすぐに追いかける外大生の、ちょっと変わった「これまで」と、力強い「これから」にせまります。

「ぼくはこの世に生を受けたときから、虫がすきなんですよ」

 

インドネシア語科 高橋淳平さん

 

はじまりは家にあった生きもの図鑑だった。当初は熱心に魚のページをめくっていたが、次第に関心は昆虫へと移る。なかでもクワガタに魅了されてからは、もともと好きだった゛知識を集めること”への情熱に拍車がかかった。小学4年生のころにはクワガタの学名をラテン語で熱心に覚え始めた。

 

虫の名前を通して出会ったラテン語を真剣に学ぶようになったのは中学2年のとき。「中学といえばふつうは英語なんだけど、自分にとって外国語といえばラテン語もあって」。文法事項の共通点や相違点は、英語を学習する上で助けになることも多かったという。英語とラテン語。2つの言語を学ぶうちに、「ことばっておもしろいなと思った」。このころから、将来の道として語学か言語学を学ぶことを志すようになる。進学先を決めるにあたって選択肢に入った外大で、専攻言語を選ぶ決め手となったのはやはり、愛してやまぬクワガタだった。「クワガタがたくさんいる地域の言語をやろうと思ったら、インドネシア語だ!となって」。

 

 インドネシアはクワガタの多様性が世界で最も豊かな国のうちのひとつ。ほんとうにたくさんの種類のクワガタがいて、と語る高橋さんの口調にも熱が入る。しかしながら、現地インドネシアの人々はあまり昆虫に関心がないらしい。「カマキリとバッタの区別もつかない。蝶とそれ以外、みたいな認識なんじゃないかな」。自らの国が持つすばらしい生きものたちの価値をわかっていないんだ、とすこし残念そうだ。

 

それでも、秋からは数少ない「虫好き」のインドネシア人と虫取りにでかけるのを楽しみにしている。インドネシアに長期留学し、現地で言語学を学ぶのだ。不安もあるが、期待もふくらむ。

 

 

「夢を持つと、苦難を乗り越える力が湧いてくる」。

高橋さんがあこがれる、考古学者ハインリヒ・シュリーマンのことばだ。病弱な体を抱え、貧しい暮らしをしながらも目標を見つめ続けた彼はひたむきに勉学に励み、30代半ばで15ヵ国語を習得した。

まっすぐに見つめ続けているもの。高橋さんにも、それがある。はじめて図鑑のページをめくったときから変わらない情熱。心を掴んで離さないそれは枯れることを知らず、いまも熱く、ひたむきに、燃え続けている。

(文・三橋 咲)


記事中の記載に誤りがありましたため修正いたしました。訂正してお詫び申し上げます。ご指摘ありがとうございました(2016/9/6)