奔流中国〜乗馬キャラバン〜 第2回

日本全国の大学構内にポスターが貼られている謎のツアー「奔流中国」。その全容を暴くべく単身乗り込んだ、阿部航平による冒険譚第2弾!!!

読者諸賢、ごきげんよう。

待たせたね。待ってない?そんな悲しいこと言いなさんな。

 

前編にあたる第1弾はこちらから。

 

日本を出て4日目、

ようやっと内モンゴル自治区の街、呼和浩特(フフホト)へ。

 

3つの民族が入り混じるこの街は建物も色とりどり、さながら支離滅裂な夢のよう。簡素な建物が雑多に並んでいるような想像をしていましたが、そんなことはあらず、もうすごい都会!!

呼和浩特はとても素敵な街ですが、私の記憶を手繰り寄せても呼和浩特についての思い出はパクチーに始まり…ピンク色のなにやら蹴鞠に終わるのです。

 

    呼和浩特に着き、晩御飯を食べるためにレストランへ行ったときです。中国料理特有の回るテーブルの中心にこじんまりと佇んでいるにもかかわらず、強烈な匂いで己の存在を誇示しているパクチーと呼ばれるものが私を見つめておりました。噂には聞いていたものの、見たのも嗅いだのも初めて。

パクッ(チー)と葉っぱを食べたしゅんかんにカ○ム○をそのまま食べた様な味が口の中に広がっていました。この瞬間より私はパクチーが嫌いになりました。こんなこと言うと、お前は○メ○シを食べたことがあるのか!なんて言われてしまいますが、昆虫大好き少年として名を馳せていた私としては○メ○シの匂いを引き合いに出せるほどカ○ム○の臭いに精通していた自信があります。

「なんじゃこれは!」

    全国のパクチー愛好家の方々、ごめんなさい。私はそこまでパクチーが苦手なのです。克服できるような至高の一品があるなら是非教えてください。

 

 

    長旅とパクチーで疲れた体に鞭を打ち、人が行き交う雑多な街の中を歩きます。片側6車線以上はあろうかという広すぎる道路を渡るときには毎回、命の危険を感じました。信号なんて無意味です!!

だってほぼ無視するんだもの!!

そしてホテルにチェックイン。時刻は21時を回り、よし!寝るか!

そんなことにはなるはずはない!

未知なる街へ!いざゆかん!

 

 

 

    行く当てもなく歩いていると公園に。

夜中に公園にいくと、輪になったおじさまおばさま方がピンク色の何かを蹴って遊んでいるのです。

     私たちもあのピンクのやつが欲しい!やりたい!そんなことを仲間内で言い合ううちに気づけばおじさま達の輪の中に。実力差の壁を感じられずにいられないものの必死に食らいつく私たち。

そうだ!これを草原でもしようではないか!どこで売ってるのか?そう考えた私たちはこの言葉を連呼しました。

「我想買(ウォーシャンマイ)。」

「我想買」「我想買」…

持てる中国語の知識全てをフル稼働させて考えてくれたメンバーの気持ちが伝わったのか、

おじさま達は良いよ、あげるよ。と言わんばかりに差し出してくれました。

 

「いや、いいですよ〜」と日本人たる遠慮を微塵も見せることなく、間髪入れずに私たちは言いました。「謝謝!!」と。

   あとから中国語の堪能なメンバーにこのことを聞くと、ちゃんとした文は「我能買哪里(どこで買えますか?)」であり「我想買」は「私たちは買いたい」という意味であったので、譲ってくれたのだと言っていました。

   なんて図々しい!!

   お礼にあげた日本円硬貨、165円分はきっと迷惑な物になってしまったでしょう。そして手に入れました。ピンクの蹴鞠。私たちの草原Lifeは優雅になること間違いなし!!

 

※これを草原でやってみたが強風に煽られ上手くいかないので断念

 

   草原前日のホテルのシャワーのお湯が出ない、出ても熱すぎてかなわん。と多少の苦労を乗り越え翌日、私たちの冒険の舞台は草原へと移動していきます。

 

   そして今回最大の目的!!

   待ちに待った乗馬です!下手をすれば命をも落としかねない危険な乗馬!

この乗馬キャラバン、乗馬といえどもポニーのパッカッパッカとした貴族のような悠長な足取りでは断じてありませぬ。張さんは言っていました。「風になりましょう」と。目標は楽しむためではないのです!風になるためなのです!

泊まっていたゲルから次のゲルまでの間を馬で移動します。遠くに目的地が見えたときの嬉しさは昔の旅人のそれと似ているのでしょうかね。

馬に「乗られている」感は拭えないものの、かなりの速さで進んでいくときには本当に気持ちがいいです。乗馬体験について書こうと思うと、いくら原稿があっても足りない。しかしこれだけは言える。

「馬に乗った後、膝がめちゃ痛くなるよ。」この痛みの対処は一朝一夕でどうにかなるものではないのです。慣れてください。

 

   なにはともあれ百聞は一見に如かず、ぜひ行ってみてください。

「ふぁー」

   気持ちの良い青空の下、ゲルから這い出た私の耳に飛び込んできたのは何やら素敵な旋律。あれ?彼はもうこんなにオカリナが上手くなったっけか?

半信半疑で音の元へ。そこに立っていたのは彼ではなく、スヤスヤと睡眠を決めていたあの方でした。リコーダーを持参していたのです。「なんてこった!」計らずとも出た、声にならない心の叫びが際限なく続く草原の彼方へ消えて行きました。

   音符を読めない私の努力を微塵にも意に介さないかのような華麗な演奏。恥ずかしさのあまり私たち二人のオカリナの演奏は日の目を見ることはありませんでした。

草原での楽しみはなにも昼間の乗馬と永遠に広がる草原を感じるだけではありません。

   そうです!星です!空です!しかし夜は寒い!!

   我らが先輩鈴木亮平も言っていた。感動とのファーストコンタクトは大切と。

   ちらほらとフライングをかました野郎らのワァーという歓声を横目に食堂としての大きいゲルからうつむきながら出て、どこかとわからないベストポジションを探りつつ、勢いよく顔を上げるとそこには一面の星空。人生で最も綺麗な星空でした。草原に寝そべり、衛星と流れ星を飽きるほど堪能し、叶うことのない壮大かつ自己中心的な願いを幾度も叶え、なむなむ!と流れ星にお願いしました。

   草原では現地の人とモンゴル相撲、羊の解体を見学しその命をいただいたり、馬頭琴を演奏させてもらったりしました。

 

 

   あれはゲル泊最終日の夜でした。

お酒があれば始まる宴会。限られた水資源。割り当てられた水は一人あたりペットボトル2本分のみ。用意されているお酒はアルコール度数、40度と68度のみ。

かくも過酷極まりない状況下で狂乱の宴が始まりました。楽しいのは最初だけ。

「うぅ。」

強すぎて味がわからないアルコールをあおっても積もるのは吐き気のみ。

私の我慢ももう限界!!フラフラと地平線の彼方へ広がる草原をさまよい、満天の星空の下「ゲルゲロ」をかましました。あれほど開放感のある「リバース」を体験できたのは選ばれし者である私だけでしょう。

 

   目立った怪我人も一人も出ず、無事乗馬を終えると再び呼和浩特へと戻ります。

 

   何か忘れてませんか?そうですお風呂です!草原ではお風呂はもちろんありません。しかしそんなことは気にならないのです。日差しが強くても乾燥で汗が出ないのですから。慣れてください。私の唇はカッサカサ!!

   草原滞在の功績である溜まりに溜まった垢を一抹の感慨もなくそぎ落とし、アッツアツのお風呂へダイブ!!

しかし三日ぶりとはいえ私は早風呂。そそくさと入浴を済ませ、風呂上がり恒例の卓球へと興じ、汗を流すのでした。

 

   乗馬のあとは、呼和浩特から北京へと新幹線で移動します。これが辛かった。半袖短パンで新幹線へ乗ったのが間違いであった。行きのような心地の良い寝台列車ではなく、新幹線はリクライニング式の椅子。吹き荒れるクーラーの息吹を受け、体が冷えていくのを感じながら時間が過ぎるのを待ちました。

 

 

   北京では万里の長城、798芸術区、人民広場周辺を観光し、ケンタッキーフライドチキン中国一号店、北京支店のトイレをメンバーの一人が詰まらせ、あまつさえトイレットペーパーを己の物にせん!とトイレから巻き取っていく様子を店員に睨まれる。などお話は尽きません。

飛行機で日本へ向かうメンバーもいたのでお別れをすませ、帰りの船へと向かいます。

   帰りも船です。行きの様なウキウキ感はあるわけもなく、少し寂しい様な、しかし楽しい2泊3日でした。

   男のみで部屋に集まり、「乾杯」を歌いながらビールで乾杯したのは今となってはいい思い出。

   そして別れの日。

   神戸港へと船がつき、トイレットペーパーとウォシュレットが付いているトイレに皆で感動し、ワイワイ神戸観光をし、再び散っていきました。

   終わってみると長い様でとても短いものでした。このツアーに参加しなければ決して会うことのない全国の行動力のある猛者たちと、1ヶ月後京都にて、年末に東京にて、再び会うほどに仲良くなれるのはこのツアーならでは、と思います。

   私はその後、感傷に浸る間もなく、しかしまっすぐ帰るわけでもなく、青春18切符でぐるっと旅をして帰りましたが、そのお話はまた次の機会で…。

 

   では少し、持ち物について。

•トイレットペーパー

   中国のトイレには紙がありません。いろんな場面でウエットティッシュも重宝しました。

•長袖長ズボン

   乗馬のときです。日焼け防止ですし、馬に触れるので長ズボンは絶対!!長袖、3日間同じ1着で過ごしていた人もいます。私です。慣れました。

•防寒着

   草原の夜と朝は寒い!あと中国の新幹線!!朝日を見るなら必ずですね。UNIQLOのちっちゃくなるダウンがコンパクトでいいと思います。ヒートテックがあってもいいですよ。

•ボディーバッグ

   街を歩くときなどに財布の取り出しの際に便利です。

•中国語のスキル

   中国では英語はあまり通じず、指数字は違います。団体でいるときには中国語が堪能な方がメンバーの中にいたので終始頼っていました。一人で買い物をするときは値段がわからないものをお釣りで初めて確認することが何回かあり、自分の根底に眠るギャンブラーの血を掻き立てんと、「アブナイ」買い物を繰り広げていたのです。この様なことにならないためにも<数字>、<いくら?>位は覚えていたらスムーズに買い物は行えるでしょう。

•お金

   張さんに元に替えてもらえるので日本円のみ持参で大丈夫ですよ。

 

 

おわり。

 

(文 • 阿部航平)